おもえば海外ドラマにはまったのはビバリーヒルズ高校白書からだったかもしれません。NHK BSか地上波かでやっていたのを見てはまったものです。主人公たちが高校在学中が高校白書、高校を卒業して大学さらに社会人となったシリーズを青春白書と呼びます。が、アメリカでは一貫して「Beverly Hills, 90210」。邦題つけるときにまさか大学までやると思ってなかったんでしょうね。高校、青春通して全10シーズンのヒットシリーズとなりました。日本でも「ビバヒル」として略されるぐらい人気になりました。
ぶれるテーマ
金持ちの街ビバリーヒルズにミネソタから越してきた双子のブランドンとブレンダ。彼らを通して若者の悩みや葛藤などを描く青春ドラマというのが大筋のストーリー。ビバリーヒルズという場所柄、一見華やかでお気楽な若者に見えるけれど、ドラッグ、デートレイプ、銃、学習障害などさまざまな社会問題を抱えているという意外とまじめなドラマでした。最初の頃は。
ところが特に大学に入ってからでしょうかね。完全にテーマを見失ってしまい、ミネソタからの双子もすっかりビバリーヒルズに染まってしまいます。ただの金持ちの子供のバカ恋愛ドラマになってしまい、寝る寝ないの話が大半を占めていきます。ネタ切れだったのかもしれませんが残念です。大学から社会人になる過程でも悩むテーマはあるとおもうんですけどね。
主要キャストの降板
主役はブランドンとブレンダのミネソタツインズでした。ですがブレンダ役のシャナン・ドハティが問題児で、ゴシップをにぎわせたり共演者ともめるなどしたため、第4シーズンで降板してしまいます。物語上でもディランとブレンダ、ケリーの三角関係は大きな流れだったので痛手だったはずです。
さらに準主役級のイケメン、ディランも第6シーズンで降板。このころは大学にも顔を出さないためストーリー上もほぼ単独プレイとなっておりビバヒルの仲間たちはリアルにも別れわかれになってしまいます。
さらにさらにあろうことか残された主役のブランドンまでもが第8シーズンで去ってしまいます。演じたジェイソン・プリーストリーはブランドンのイメージがつくのが嫌だったとしていますが、8年も演じたらすでに手遅れなんじゃないのかとつっこみたくなりますね。プリーストリーは監督業に興味があったらしく、ビバヒルでも何話か監督してます。監督させてもらえるという条件から8シーズンまで残ったのかもしれません。
主役が不在となったビバヒルはやめどきを見誤ったといえますが、第9シーズンでディランを復活させることに成功します。でもやっぱり双子のいないビバヒルはビバヒルではなく、10年でようやく幕を閉じます。
吹き替えも人気に
NHKでの放送は吹き替えでした(いまも放送中のドラマはたいてい吹き替えです)。この吹き替えのセリフもまた見どころのひとつでした。ブランドンの言い回しは優等生的なイメージを出すためか妙に丁寧で。たとえば「これはこれは、みなさんおそろいで」とか。
他にも名セリフのオンパレード。
デビッドは他のメンバーよりひとつ年下なためやたらと敬語。ケリーを呼ぶときは「姉上」。ブランドンやスティーブには「先輩、どうもです」。
バレリーは「〜だわよ」。「〜だわ」でも「〜よ」でもなく。
ディランの声優小杉十郎太の口調も大げさでおもしろいです。お笑い芸人なだぎ武のモノマネはよくできてますね。友近のキャサリンは特定の誰かではなく典型的な女性のマネなのでおもしろさがちょっと下がります。
これらのヘンテコ吹き替えはビバヒルには欠かせないシロモノ。たいていの映画やドラマは字幕で見ることをおすすめしますが、これだけは別。吹き替えでこそ楽しめるドラマです。
ビバヒルからアカデミー女優へ
いまでこそテレビドラマから映画スターが生まれることも多いですが昔はテレビと映画には格の違いのようなものがありました。そんななかビバヒル出演からアカデミー賞受賞女優となったヒラリー・スワンク。そんなに長い期間ではありませんでしたがスティーブの彼女役として準レギュラー的な立場で出演していました。ビバヒル卒業後の映画ボーイズ・ドント・クライでむずかしい役を演じてオスカーを取ったあとは、ミリオンダラーベイビーなどに出演。レギュラー陣を尻目にどんどんビッグにのぼりつめています。
スピンオフ
ビバヒルから派生して大人版ビバヒル的なメルローズ・プレイスが制作されました。初回には何人かのビバヒル出演者もゲスト出演して盛り上げました。
さらにびっくりなことに最近ビバヒルの子供たち世代を描いた「新ビバリーヒルズ青春白書」なるものがNHKで放送中なんですね。ケリーやドナなどがゲスト出演してるらしいです。まったく見てませんが。