「アウトレイジ」は単なるヤクザ映画ではない
北野武監督のアウトレイジ(OUTRAGE)を観た。キャッチコピーが「全員悪人」というようにとことんヤクザ映画に徹している。北野映画らしくバイオレンスやグロいシーンも盛りだくさんだけど、どこか滑稽なところもあり、残虐シーンだけ目をそむければ女性でも楽しめそう。
内容はヤクザの抗争。ゴッドファーザーへのオマージュっぽいシーンもあるし、日本版ゴッドファーザーを目指してるのか。
この映画、ヤクザ映画の形をしているけど、ふと考えると会社に置き換えられたり、政治に置き換えられたりする。兄弟の盃だとか親子の盃だとかそういうわけのわからない契りがいかに上辺だけのものか。この人たち何のためにヤクザやってて何のために生きているのか。それは同時に我々サラリーマンにも通じる話なんではないかと。
そんなところはヒース・レジャー主演のダークナイトと似ているかもしれない。ダークナイトはバットマン映画の体裁をとりながら、描いているのはもっと壮大なアメリカ経済への皮肉だったような気がする。
ダークナイトと比べて見劣りするのはセリフに深みがないところ。いいセリフを引用しようとおもっても思い浮かばない。深いセリフはいかにも作り物っぽいからあえて入れなかったのかもしれないけれど。
豪華俳優陣は見応えがある。特に加瀬亮はこれまでいい人の印象が強かっただけに冷血な感じがよかった。
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